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医療ニュースハック

日々進歩する医療のニュースを取り上げ、考察を加えて深堀していく。

門前薬局に逆風。「かかりつけ薬局」の更なる推進へ

特定の医療機関から処方箋を受け取る率が非常に高く、隣接ないしは近隣にある薬局、いわゆる門前薬局の診療報酬を減らすという方針の検討を行っている事が、2015年5月21日の厚生労働省より明らかとなった。

「門前薬局」はどうなる

 

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現在、

「処方箋がひと月4000枚を超えており、その内特定機関からの集中率70%以上」

もしくは

「処方箋がひと月2500枚を超えており、その内特定機関からの集中率が90%以上」

の場合、調剤基本料が41点から25点に減額される規定があるが、

今後どのように行うかは未だ明かされていないようだ。

 

大方の予想では、処方箋枚数に関わらず、集中率により調剤費が削減されるのではないかといわれている。

 

しかし、何らかの形で「門前薬局」への減額の方針が検討されている。

 

「かかりつけ薬局」のメリットとデメリットとは

かかりつけ薬局へのシフトを行う方針を打ち出した政府であるが、このかかりつけ薬局にはどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。

 

かかりつけ薬局のメリットとは

主に薬剤を受け取る患者のメリットを記載したい。

 

2015年4月に行われた17回日本在宅医学会もりおか大会において、厚生労働書の中井薬剤管理官は、かかりつけ薬局のメリットとして

在宅医療も含めた最適な薬物療法の提供

OTCを含めたセルフメディケーションの推進

総合的な地域包括ケアの推進

を挙げている。

(出典元:厚労省・中井薬剤管理官「かかりつけ薬局しか生き残れない」 医薬分業メリット示すエビデンス構築求める | 国内ニュース | ニュース | ミクスOnline)

 

また一般的に言われるかかりつけ薬局のメリットとしては、

・薬歴の正確な管理

・重複調剤や副作用の防止

残薬の抑制と必要最低限の調剤を可能にする

・包括的なケア

等が挙げられる。

 

これらをまとめると、以下の2点がメリットとして挙げられそうだ。

 

1.包括的なケアにより調剤・説明の質が高まり、薬物治療の質の向上

2.残薬の抑制やOTC、重複調剤により薬剤費は抑制される為、医療費の削減

 

果たして、メリットだけであるのだろうか。

私の現段階での考えを後ほど記載してみたい。

 

かかりつけ薬局のデメリットとは

一方で、デメリットも確実に存在する。

一般的に言われている不便な点では

 

・院内調剤に比べ、手間・金額の負担がある。

・製剤の種類が多くなる為、処方箋にある製剤の在庫が無い場合が予期される

 

本当にそれだけしかデメリットが無いのであろうか。

以下に私の今後の予測を記載する。

 

かかりつけ薬局へのシフトで未来はどうなるんだろう

 

医療費削減にはかかりつけ薬局の推進は間違いないと考えている。

理由は、薬剤費と薬局の絶対数が減ることでの効率化によるものである。

 

また今後、より門前薬局への調剤費を抑制した場合、かかりつけ薬局がますます存在感が高まってくることは間違いない。

 

もちろん、包括的なケアや残薬の管理等のメリットが非常に高いものであるが、このシフトが及ぼす負の影響も少なくないと思うのだ。

今後、調剤薬局はどのようになるかを予測してみたい。

 

門前薬局の統合・または消滅

薬剤師の高い人件費を払い続けなければならない調剤薬局において、このような収益の低下は人材不足を招きかねないだろう。

一方で、かかりつけ薬局とされる大規模な薬局がより高い収益を得る事となる。これにより、門前薬局からかかりつけ薬局への人材流出の可能性が高くなる。

 

現在、薬剤師の転職市場は花盛りであり、WEB広告のアフェリエイトサービスでも広告のクリックから薬剤師の転職まで繋げることに成功すると、その成功フィーは他の成果報酬型アフェリエイトに比べ、圧倒的に高い。人材が不足していることが伺える。

このような転職サービスを見てみた場合、門前薬局の募集が給与が低くなっていき、かかりつけ薬局と言われる薬局の給与が高かった場合、どちらを選ぶであろうか。

 

また、特にデパートの中にある調剤薬局チェーン(イオン薬局など)や、スーパー・ドラッグストアと一体となった調剤薬局チェーン(ココカラファイングループ)などは、門前薬局が減って来た場合、残った門前薬局に集中し、調剤時間も長くなるため、待ち時間に買い物が出来るというメリットがより際立ち、将来的には高い調剤費と効率的な調剤によってより力を得るのではないかと思う。

 

上のような理由から、大資本を持つ調剤薬局チェーンが今後、門前薬局を取り込むのではないかと推測する。

 

本当に、医療の質は高まるの?

究極的に言えば、「かかりつけ薬局」「門前薬局」どちらでも、患者にとってメリットが大きければそれが正解なのだろうというのが私の立場である。

ここでは、あえてかかりつけ薬局への急な推進への疑問を呈したい。

 

今後、薬局の経営という点において、資本力が高い会社はますます力がつき、個人経営の調剤薬局が徐々に落ちて行くということになりかねない。

こうなった場合でも、それが調剤薬局の仕事の質として高い方がより良いのはもちろんのことである。かかりつけ薬局がより質の高い提供姿勢をとれるのだろうか。

 

あえて懸念事項を記載したい。

 

複雑な在庫管理と、その服薬指導

様々な医療機関から処方箋を受ける事によって、先発品・後発品問題や、推進されているアンテッド・メディカル・ニーズ治療薬の登場、また年々増加する新薬により在庫管理はより複雑になることは間違いないであろう。

これはよく言われるデメリットである。

 

しかし、これよりも大きな問題があるのではないか。

 

最も難しい点は、服薬指導にあるのではないかと思う。

門前薬局の場合、種類はおよそ決まっており、服薬指導の幅はおよそ限られていたが、今後さまざまな医療機関から受けることになると、その幅は計り知れない。

これにより、ただでさえ大きい、薬剤師の負担が更に大きくなるのではないか。

対応策として、循環器専門の薬剤師等の専門的な薬剤師の設置もあるが、人材のシフト面で不安が出てくるだろう。

服薬指導の面で幅広く、また深く服薬指導を行う薬剤師が多くなることで、人材疲労の面からも医療の質の高まりに疑問を呈したい。

 

地域性のある包括ケアが可能か

他にも門前薬局の場合、地域周辺の繋がりが大きく(チェーンの薬剤師の方でも地域理解の深い方は多くいらっしゃると思うが)、包括的なケアという面での不安があるのではないかと考えている。

 

ゼンショーは先見の明があったのか

マルヤでの調剤薬局を運営すると言われているゼンショーグループであるが、「かかりつけ薬局」が推進され、薬剤師の配置等で大変になると思うが、今後人材面での運営に期待して、この記事を締めくくりたい。

 

「かかりつけ薬局」のデメリットも記載したが、これにより調剤の質がより高まるのであればなんら問題はない。むしろ大歓迎である立場だ。今後も動向を追って行きたい。

何か間違った記載や、思い違いをしている点等がありましたらご指摘いただければ幸いです。